THE PSYCHOMODO / COCKNEY REBEL

HIGH TIDEとは全然出てくる音は違えど、やっぱりこれも純英国産なんやよね。スティーヴ・ハーリー率いるCOCKNEY REBELの代表作といえばこれでしょう、「PSYCHOMODO」(邦題「さかしま」)。T.REX、ボウイなんかのグラム・ロック一派として73年デビュー、本作は74年発表の2NDアルバムです。


イントロのオーケストレーションのテープ操作からへヴィな音を想像させておいて意表を突いた軽めのR&R、しかしこれがええ曲なんやよね。ヴァイオリンもええアクセントになってるし。そしてそのままメドレーで続くタイトル曲、これ最高!いかにもロキシーの初期の頃の軽いR&Rなんやけど、ロキシーの(というかブライアン・フェリーのキャラクターに依存する部分が大きい)優雅感に比べコックニーは精神分裂的逼迫感に溢れてます。不協和音気味のピアノソロの後半から3コーラスめに入るところなんか格好ええな。3曲目がこれまた人を喰ったような「MR.ソフト」。まるでデキシーランドジャズ!しかしこの「ウラ!」という掛け声は常人にはできません。さらに「SINGULAR BAND」もトロピカル風味の舐めたような曲。しかし中間部のエレピソロなんかソフトマシーンみたいやぞ。

B面は大好きな「偏執的ノスタルジー」。なんちゅう邦題や!この逼迫感と倦怠感の同居したサウンド、クセになります。3コーラスの単純な曲なんやけど、メロディがええし歌詞が精神分裂的逼迫感に溢れててええんやわぁ。そしてまたまたトロピカルな「かなわぬ情事」。これまた笑う邦題やなぁ。そしてメドレー形式で雪崩れ込む「矛盾の人生」のイントロのヴァイオリンの格好よさ!これも鍵盤ソロが不協和音。ソロの後の5拍子に変わるとこもスリリングです。ラストの「転落」はデカダンスの世界、物悲しいピアノとストリングスがビジュアルイメージを掻き立てる絶品のバラードです。「霧の深いロンドンの桟橋を飛び跳ねながら去っていくピエロ」をイメージしましたが、みんなはどうですか?

ティーブ・ハーリーは今でもソロで現役らしい。ええね!