包帯の男 / LE ORME
暑〜い夏にひんやりとしたプログレを一枚、LE ORMEの「包帯の男」です。
プログレになってから2枚目(ポップスバンド時代から通算4枚目)の本作はイタリアン・プログレ全盛の72年作。多くのイタリアンプログレがカンツォーネを思い起こさせる熱さが売りなのに対し、オルメは淡々とクールにしかしたおやかにイタリアの叙情を伝えてくれます。
トップはさすがにプログレバンドらしいイントロで始まる「NUOVA」。しかし変拍子が8分じゃなくて4分というのがこのバンドの素朴さを表してます(逆にテクが無いだけ?)。そして瑞々しいピアノに導かれてアルドーの哀愁たっぷりなボーカルが聴こえてくればもうオルメの世界。牧歌的な2曲目に続いての「閉ざされた扉」では7/8の変拍子で始まるちょっとはプログレらしいナンバー。後半ではハモンドが唸る一番ハードな出来です。
B面はメロトロンをバックに歌い上げる「簡素な思想」からスタート。続くはバックのムーグがELPの「ラッキーマン」丸出しの「未完成絵画」。幽玄な感じの「夜明前」と完全に歌もの、アルドーのちょっとうわずって決して上手くないんやけど味のあるボーカルが堪能できます。このあたり、プログレとちゃうよな〜。最後はA面ラストと並んでいかにもプログレバンドらしいインストナンバー。「テクは大したことないけど、ちょっとプログレっぽい曲をやってみました」って感じが微笑ましいぞ。
やっぱりオルメはひんやりとした触感のボーカルナンバーがええですね。ELP(というよりナイス)丸出しの前作「COLLAGE」から本作、次作の「フェローナとソローナ」(VDGGのピーター・ハミルがプロデュース)、インスト部分が充実した「CONTRAPPUNTI」までがオルメの全盛でしょう。でもどのアルバムでも中心にあるのはアルドーの歌、これこそオルメの味です。