FIRST LOSS / MURPHY BLEND

これまた渋いオルガン・ロック、ドイツのMURPHY BLENDの唯一の作品。


70年に録音された本作はプログレというよりオルガンロックって言葉がぴったり。ドラッグ臭強いドイツ色は殆どなく、むしろインディアン・サマーやクレシダ、アードバーグのような当時の英国オルガンロックに近いイメージです。ジャケットからしてくぐもった英国独特の感じがします。

トップから渋いオルガン・ハードロック、このハモンドの音がええね。控えめなギター、走ったりもたったりのバタバタしたリズム隊とこの時代でしかありえない音です。ボーカルも上手くないけどジェントルな感じでええね。コンパクトながらちょっとクラシカルでジャジーな味付けもあって代表曲でしょう。2曲目も同系統のナンバー。ちょっとした歌メロがジェントルな味わいです。A面ラストはいかにもな泣きのバラード。ボーカルがうわずったり、声がひっくり返ったりと情けないのはご愛嬌。

B面トップはクラシカルなオルガンのイントロから3コードのシャッフルへ展開、この曲もボーカルが情けない。そしてタイトル曲は段々と盛り上がるイントロからギターが結構荒れ狂ってます。その後ちょっと抑えたボーカルパート、このちょっと引いた感じがええね。中盤からのソロパートもテクニック的には今一歩ながら熱い中々の力作です。ラストは失笑もののクラシカルなイントロからいかにもなオルガンハード。しかしリズム隊、切れが悪いなぁ。しかしそれすらも味わいになってしまうのが時代の勢いか?唐突な終わり方もこれまた良し。70年代初頭のオルガン・ハードロックとしては英国のB級バンドと並んで隠れた逸品といえましょう。

結構60年代終わりから70年代初頭にかけてのオルガン・ハードロックってのも大好きで、その究極型がELPの「頭脳改革」やと思います。ここら辺のバンドはこれからもアップしていきます。