初期のROD STEWART

あまりにもメジャー過ぎて、さらにチャラいイメージもあって俺の周りでも語られることのないROD・・・しかし、そのソロ初期はアーシーなディランとサム・クックフェイセズの混じり合った味わい深いものです。STONESの「BEGGER'S」〜「IT'S ONLY R&R」あたりが好きならストライクど真ん中です。そういえば昨年の春に来日しましたね、観に行きました。真ん中、15列めくらいの絶好のシートでした。もうヒット曲のオンパレード!途中で娘にも唄わせてましたね、この親馬鹿!


69年のソロ・デビュー作です。ソロの中でも一番フォーキーな本作、いきなりSTONESの「街戦男」のアコースティック色強いカバーから始まります。中でもフェイセズの「3ボタン」とそっくりの「古雨着」、イントロがリリカルな「HANDBAGS」は秀逸です。フォーキーとはいってもいかにも英国な味わい、英国スワンプの位置づけが本作にはふさわしいと思います。しかしべックから独立、フェイセズを立ち上げたばかりでの本作、ちょっと地味になり過ぎ?


そして翌年発表の2ND「GASOLINE ALLEY」。これも英国スワンピーな一作です。いきなりタイトル曲がマンドリンも入ったトラッドなナンバー。ボビー・ウーマックの「IT'S ALL OVER NOW」はフェイセズのライブのオープニングで有名ですね。ディランの「ONLY A HOBO」、エルトン・ジョンの「COUNTRY COMFORTS」もはまり過ぎ、特に「COUNTRY COMFORTS」は名唱です。SMALL FACESのカバーではフェイセズのメンバーが勢揃いしてます。前作よりリズム(ドラム)が前に出てきてちょっとロックぽい仕上がりの本作、中々の力作です。


そして出世作となった71年の「EVERY PICTURE」。何といっても「MAGGIE MAY」でしょう。少年が年増の女と恋に落ちる歌詞はさながら映画の「プライベート・レッスン」(シルビア・クリステル主演、古ッ!)のようです。とにかくROD一世一代の名曲、昨年のライブでもやってくれてました。これまたフェイセズのライブで定番な「LOSIN' YOU」、マギー・ベルとデュエットするタイトル曲やティム・ハーディンの「REASON TO BELIEVE」がええ。本作はフォーキーでトラッドな部分とフェイセズっぽいR&Rがええ塩梅でミックスされていて初期の代表作です。


ソロもフェイセズも絶頂の時期に作られた「NEVER DULL MOMENT」、悪いわけないです。本作ではフェイセズがそのまんまバックを務める比重が多くなってます。「MAGGIE MAY」のアンサーソング「YOU WEAR IT」、名曲「TRUE BLUE」、ジミヘンのオリジナルを凌ぐ「ANGEL」、サム・クックの「TWISTIN'」、フェイセズのライブ定番「RATHER GO BLIND」と名曲・名演揃い。フェイセズがポップにちょっとフォーキーになった本作は最高なんやけど、バックもフェイセズ、ライブではフェイセズのオリジナル以上にRODのソロ曲の割合が増えていき他のメンバーとの軋轢が生じてくるきっかけとなった作品です。作品自体は最高なんやけどね。


そしてフェイセズ崩壊の真っ只中での「SMILER」、74年の作品です。既にフェイセズからロニー・レインは脱退しており、本作にはウッディとマックの2人が参加してます。後期フェイセズの定番「SWEET LITTLE R&R」、マッカートニーの書き下ろし「MINE FOR ME」、サム・クックの「BRING IT」あたりが秀逸。しかし特筆すべきはエルトン・ジョンが書き下ろしデュエットするR&Rの名曲「LET BE ME YOUR CAR」でしょう。イントロのギターから雪崩れ込むいかしたR&Rナンバーです。俺も昔のバンドでパクらせてもらいました。この曲、ライブでもやってないし、全く語られることがないけど・・・最高のR&Rです。ここまでくると初期のフォーキーさは影を潜め、ゴージャス感すら出てきました。いよいよ全米進出って感がビシバシです。

この後、フェイセズは解散。RODはアメリカへ渡って、あの「ATRANTA CROSSING」を発表、文字通りのスーパースターになっていきます。渡米後の話はまたの機会に・・・。