中期のKINKS

さぁ、東京タワーでのアコギ・ライブもいよいよ週末となりました。今日はユニット名のSKIN&BONEの由来にもなった70年代初頭のKINKSを紹介します。

 それまでも「YOU REALLY GOT ME」とかの初期の代表曲は知ってたけど、まともに初めて聴いたのがこの「MUSWELL HILLBILLIES」でした。一言でいうと地味・・・でもとっても味わい深い一枚です。アメリカ南部を目指した英国にしか出せない味わい・・・でも当時の同傾向のSTONES(STICKY FINGERSの頃)やBLIND FAITH後のクラプトンと比較しても地味。トップの「20世紀男」はそれでもオープニングらしさをようやく保っているけど、続く「急性精神分裂誇大妄想」から一気に中期KINKSの世界・・・アメリカ南部を目指しながらもどうしても英国場末のパブを思い浮かばせる世界に突入します。「HOLIDAY」「ALCOHOL」「COMPLICATED LIFE」「CUPPA TEA」「ホロウェイ監獄」「UNCLE SON」と場末のパブというかキャバレーというか。その中で「オクラホマ」は澄み切ったピアノのイントロが美しい名曲です。「ドブネズミ色の服」やタイトル曲は「20世紀男」と同系統の名曲やし「SKIN&BONE」はこの頃のライブのクライマックスのナンバーです。あ、ハイライトは「アルコール」でした。

 そして「この世はすべてショービズ」。スタジオとライブの2枚組。ライブの定番「ANOTHER DAY」で軽快に始まり、「おっ、本作はちょっとはしゃんとしてるか」と思わせておいて2曲目からはやっぱり英国場末パブの世界へまっしぐらです。その中で「セルロイド英雄」と「SITTING IN MY HOTEL」のバラードは名曲です。「セルロイド」は名曲として名高いけれど「HOTEL」は隠れた名曲ですよ。あ、弟のデイヴ作の「DON'T KNOW MY NAME」もいいですよ。そして2枚目のライブは当時の場末パブ・バンドの一端を見せてくれてます。でもでも・・・当時はこれで満足してたのですが、人間の欲望とは恐ろしいもので「フルステージが聴きたい」とBOOTを探す始末。当時のBOOTでフルステージを聴くと本作ライブはほんの一端しかなかったというのがよくわかりました。本作では「LOLA」はフルコーラスじゃないし、「REALLY GOT ME」はやってないし、何といっても当時のステージのハイライトの「アルコール」が本作では4分程度に縮小されてます。実際のステージでは長尺なイントロがついて何と10分を超える大作になってます。中期KINKSの魅力にはまった人はぜひBOOTを聴いてください。72年1月のRAINBOW THEATER、11月のFELT FORUM、ORPHEUS THATER(BOSTON)なんかはライン録音で聴きやすいです。特に1月のRAINBOW THEATERは放送音源なんでええですよ〜!