FLEA

北欧、ドイツときたらやっぱイタリア。イタリアからはFLEA!

 イタリアはヘヴィ・プログレは名バンドが多いけど、ハードロックとなると極端に数が少ない。多分、やたら盛り上がる国民気質のイタリアのこと、ハードロックよりも強弱のはっきりしたプログレのほうが好まれるんやろなぁ。FLEAの72年の唯一の本作はイタリアにしては珍しく本格的ハードロックをやってますが、イタリアとくればプログレ者の宝庫の国、はっきり言ってプログレ者には評判悪いです。しかしハードロックもプログレもはたまたスワンプもパンクもOKな俺にとってはFLEAもお気に入りなのでした。

A面はタイトル曲1曲という思わずプログレ者が好みそうな展開。しかしジワジワと始まりドラムがバタバタし始めるとプログレ色は皆無のハードロックの世界でした。WISHBONE ASHをハードに複雑にしたようなテーマ部分、ギターソロに続きへヴィなリフ部分、スロー部分と展開して最後にテーマに戻るというなんて事のない構成ですが、テーマが移る時に入る色んなブリッジで色気を見せてます。しっかしこれは1曲に繋げるのはちょっと無茶やろ・・・独立した曲に分ければ曲そのものが引き締まってよかったのに。

B面はトップから格好よいハードナンバーで始まります。普通の8ビートではなく3/4のリズムが複雑に絡み合ってギターのELPみたいです。続いてアコースティックで始まる幽玄な曲。はっきりいってこの曲はいらんかったりして!そして最後はギターのリフが格好よいハードナンバー。ボーカルラインがいきなり不協和音的でゾクッときます。途中のベースソロも頑張ってるしハーモニカ(多分これがプログレ者には我慢ならんのやろ)も色気があってGOODです。その後シャッフルのブルースというかブギっぽくなって(これがまたまたプログレ者の疳にさわる箇所でしょう)エンディングを迎えます。この曲が一番お気に入りです。

FLEA ON HONEYというビートポップ・グループを前身としたこのグループ、この後ベースがL'UOVO DI COLOMBOに参加したり、FLEA自体がETNAというジャズロック・グループに転身したりとイタリアのロック・シーンで色々なところで名前が出てきます。

今まで紹介したハードロックものに比べるとA面のタイトル曲を組曲にしたために散漫な印象があり、元々プログレに名作が多くハードロックが育ちにくいイタリアという国柄もあるのか、やや見劣りすることは否めません。でも、タイトル曲もそれぞれの箇所では光るものがあるし、なんと言ってもB面のトップとラストが無茶苦茶格好よいので個人的にはお気に入りの一枚です。