PAPILLON / LATTE E MIELE

さぁまたまたオルガンロックに突入しそうな気配、イタリアプログレのキーボードトリオ、ラッテ・エ・ミエーレ(略してラテミ)の名作「パピロン」です。


これは73年作の2ND、1STの「受難劇」があまりにも有名(当時ヴァチカン司祭に招かれてローマ皇帝の前でライブをやったそうな)なラテミなんやけど、個人的にはヴァラエティに富みながらもバランスもとれた本作のほうが好みやなぁ。1STも名盤の誉れ高くてええんやけど、ちょっとテーマが大仰すぎるよなぁ。本作のテーマはあのマックィーンとダスティ・ホフマンが出演した「パピロン」、離島の監獄から脱走するあの映画です。これの原作の人形劇からインスパイアされたらしい。

いきなりタルカスを思わせる早いパッセージのオルガンロックの「序曲」から始まる本作、続く「脱走」でこの組曲のテーマソングがちょっとユーモラスに登場、このテーマソングは形を変えて場面展開で何度も登場します。「脱走」ではテーマに続いてちょっとジャジーなインストに展開、続く「市場」ではアコギにつま弾かれたテーマに続いていかにもな早いパッセージのオルガンロック、このバンドってこういう部分は決まってインストなんやよね。そしてまたまたアコギのテーマに導かれて「出会い」。出た〜、イタリア特有の泣きのバラード。後半のストリングス、合唱隊ともう贅の限りです。「捕われの身」ではヴァイオリンを絡めたインストに展開。そして「変貌」ではテーマもガラッっとイメージを変えてピアノでしっとりと始めるもハードなインストに突入、幽玄なパートを挟んで合唱隊のコーラス、そのまま最終章「自由の世界へ」につながります。この組曲、テーマがしっかりしてて目くるめくインスト部分との切り替えしが素晴らしく、泣きのバラードもあってイタリア・プログレのキーボード・トリオでは最高峰です。

B面はクラシカルなストリングスとなピアノが交差する「奇想曲」からスタート。「悲壮」は3部に別れた組曲。まずはピアノのリリカルなイントロから終盤がいかにも「バッハ〜!」ってかんじのオルガンロックに展開。この辺り素朴なELPって感じが微笑ましい。パート2ではいきなりクラシック全開、ヴィヴァルディの「春」からハープシコードも交えたオルガンロックに突入。ドラムソロを挟んでこれまたジャジーなピアノソロ、1STよりジャズっぽい感じが多いのが本作の特徴やね。パート3は暖かいストリングスとアコギをバックに朗々としたボーカルがほのぼのします。終盤の管楽器もええ感じ。最後はジャジーなギターのインストで本作は幕を閉じます。CDにはボートラとしてシングル曲「胸いっぱいの愛」を収録、これはいかにもイタリアプログレのバラード。イ・プーみたいな甘いボーカル・ナンバー。

70年代終盤のプログレ衰退に伴ないラテミも解散。ところが最近になって突如再結成、新作を発表してます。再結成後の「LIVE TASTING」では1ST、本作のライブも抜群のクオリティで聴ける感激もんです。