HIGH TIDE

これまた純正英国産ROCK、HIGH TIDEです。


元ミスアンダーストゥッドの変態ギタリストのトニー・ヒルを中心に後にホークウインドに参加するサイモン・ハウスのヴァイオリンを絡めたHIGH TIDEの1969年の1ST。まず1曲目の「FUTILIST'S LAMENT」の音色にビックリします。この世のものとは思えない汚い音!トニー・アイオミも真っ青です。さらにヴァイオリンが不安定感を煽る、どへヴィ・サイケの究極の形です。「DEATH WARMED UP」はデスメタの元祖みたいなゴリゴリのバックに不安定なヴァイオリンが縦横無尽に駆け巡る変態インスト。「MISSING OUT」はちょっとブルージーなへヴィナンバー、まだまともかな?「NOWHERE」はヘドロのようなギターに情緒不安定なヴァイオリンが変拍子交えたリズムに絡んだイントロからメロディが理解できない歌に突入する変態ナンバー。
とりあえず1STは1曲目の「FUTILIST'S LAMENT」のギター一発で決まりでしょう!


2NDの「HIGH TIDE」ではちょっとトニー・ヒルのギターもマシになってヘドロから肥溜めくらいには聴きやすくなりました。曲もかなりこなれてキャッチー(HIGH TIDEにこの表現不適切やなぁ…)になりました。ただし3曲しかない大作揃いです。1曲目の「BLANKMAN」のイントロ、十分にへヴィでメタリックでサイケなんやけど、曲もメロディが立っていて聴きやすい。しかし、3分あたりからひたすら2コードで5分ほど延々と繰り返すヴァイオリン・ソロには吐き気をもよおします。アモン・デュール系暗黒ジャーマンにも通じるへヴィ・サイケですな。2曲目の「JOKE」はちょっとテクニカル(これも不適切な表現やなぁ…)からどえらい重いドラムに導かれて荘厳なボーカル・パート。激しいソロパートを挟んで最期に凄い牧歌的というかリリカルというか室内音楽的エンディング、う〜ん訳わからん!B面全部を費やした「SENEONYMOUS」。いつものハードでサイケに暴走するインストパートと5拍子のトラッドぽいボーカルパートが入り混じるナンバー、しかし片面費やす程の曲展開があるわけでもなく、ひたすら好き勝手に暴走するインストパートとじっくりと盛り上げていくボーカルパートで片面終わっちゃいます。

ハードでサイケなHIGH TIDEのイメージなら1ST、トータルで見るならメロも良くプログレっぽさもある2NDでしょう。しかし、どちらにしても聴き手を選ぶ(というかかなり拒絶している?)バンドなので覚悟して聴いたほうがええよ。