SKELETON IN ARMOUR / FUSION ORCHESTRA

ハードロックでもないプログレでもない、英国にしかありえやん音ってあるよね?FUSION ORCHESTRAの73年唯一の作品なんかその典型です。


英国アンダーグラウンド最後期73年に1STを出したこのバンド、殆ど当時のデーターがありません。しいて言えばボーカルの紅一点ジル・サワードが80年代に「NIGHTBIRDS」の大ヒットを飛ばしたシャカタクに参加したことくらい。シャカタク自体知ってんの40代以上のヤツしかおらんやろ・・・。

本作、ハードでもプログレでもない英国ROCKとしか形容のしようのない音。ハードもプログレもジャズもブルースも混沌と混ざり合ったこれぞ英国ROCK。ただ専任の鍵盤がいないので音の感触は非常にソリッド、そして目まぐるしく変わる曲展開。イントロや中間部に1分にも満たない小曲が挿入されており実質は5曲なんやけど、「SONATA IN Z」「ガスはつけっぱなし?」「TALK TO MAN IN THE SKY」の3曲は10分ほどの大曲、それでいて中だるみゼロ。ドロッとした暗さはあまり無くてスカッとしてます。とにかく曲がよく動く!そして練り込まれてる!当然テクニック的にも完璧、ベースもよく動いてメロディックです。ちょっと例えは(間違っていたらゴメン)プログレ全盛期のRUSHにも似てるかな?タイトル曲は5分程度の曲、この中にも曲構成がこれでもか、というくらい詰め込んである。「ママが家にいない時」は3分のコンパクトなまるでヴィネガー・ジョーみたいなソウルフルなR&R。ちょっとストレートすぎて拍子抜け、これはこれでええ曲なんやけどね。

とにかく大曲を目まぐるしい構成と静と動のコントラスト、そして圧倒的テクニックで聴かす本作、名盤は間違いなしなんやけど、ハードロックでもなくプログレでもなく、はたまたブルースでもない(逆に言えばそれらをすべて含んでいる)カテゴライズしにくさから本作はあまり語られてないよね。いかにも英国ROCK、形容のしようのないこの表現がわかるヤツはきっと気に入ってもらえるはず!

なんとシャカタクは今でも現役、そしてジル・サワードは結成当時から現在までシャカタクに在籍しています。シャカタクのHPですっかりおばさんになったジルが拝めます。1953年生まれだそう・・・ってことは本作は73年作やから20歳の時に作ったのか?超早熟!それとも年齢詐称か?